給料の3分の1はウソ?一人暮らしの適正家賃とは

一人暮らしの適正家賃

「家賃の目安は月収の3分の1」という言葉があります。
これくらいが身の丈にあった物件だということですが、本当にそうなのでしょうか?
今回は、その実態に迫ってみましょう。

月々の生活コストはどれくらい?

ここでは大学卒業者の初任給をもとに考えて見ましょう。
厚生労働省によれば、平成25年の大卒者初任給は約20万円です。
そこから社会保険料などを引かれて手取りは17万円程度、17万円の3分の1ならば適正な家賃は57,000円(管理費や共益費込み)程度になります。

家賃 57,000円
食費 30,000~40,000円
光熱費 10,000円~
通信費 10,000円~
日用品・医療費 3,000円~
交友費 10,000円~
洋服代 10,000円~20,000円
保険代 5,000円~

個人差はあるでしょうが、家賃を含む生活費を手取りから引いて、残りの予算は15,000~35,000円ほどです。
ここから、例えば新聞を購読したり、毎月1万円貯金したりすれば、自由に使える予算はほとんど残りません。
「3分の1は余裕のある基準か」と問われれば、はなはだ怪しいといわざるを得ないでしょう。
3分の1は上限なのです。

住宅ローンと比較してみよう!

賃貸からは少しはなれて、物件を購入する場合を考えてみましょう。
家を買うとき、住宅ローンを組む際の目安に「返済比率(返済負担率)」という指標があります。
住宅ローンの融資を行う金融機関も、この指標を参考に融資の是非を決定しています。

返済比率とは「1年間のローンの返済総額が、年収の何パーセントになるか?」です。
住宅ローンを組む場合、返済比率は25%以下が目安と言われています。

これは「年収の4分の1程度が、1年間に支払うローンの総額に適している」ということです。
購入物件には「自己資産になる」という賃貸物件にはないアドバンテージがあり、性質が異なる部分も大きいですが、「収入と支出」という観点から住宅ローン比率は大いに参考になるでしょう。
家賃は3分の1といわず、4分の1くらいに抑えたほうが賢明かもしれません。

そもそも3分の1っていつから言われてるの?

残念ながらいつから言われているのかは、ハッキリと分かっていません。
しかし、高度経済成長期以降に広まったと考えられています。
現代と違い、経済が上り調子だったため給料の伸びが見込め、多少無理をして良い部屋を借りても問題ありませんでした。

また、スマートフォンやインターネットもなく通信費もあまりかかりません。
3分の1でも今より豊かな生活ができたようです。

「支出を見直すときは、月々の金額が固定されているものを見直せ」といいますが、家賃が支出の内大きな割合を占めている人は多いと思います。
「将来を見据える」「余裕のある生活を送る」ためにも、まずは収入と家賃の関係を見直してみるのも良いかもしれません。