スムーズな敷金返還のために知っておくこと
それまで住んでいた部屋を退去して引越するとき、費用としてあてにしたいのが返還される敷金です。
ですが敷金はいくら返ってくるのかわかりません。
大幅に差し引かれた、それどころか追加の費用を要求された、なんて話も聞きます。
そのため、敷金返還は退去時のトラブルナンバーワンと言われます。
そもそも敷金とは
敷金とはなにかということについては、実は法律で明確に定められてはいません。
ですが敷金トラブルをめぐる裁判の多さに対応するため、国土交通省がガイドライン(※)を出しています。
これによると、敷金とは家賃滞納や、部屋のクリーニング・修繕にかかる費用の「担保金」、つまり預けたお金であり、修繕費の先払いではありません。
なので基本的には戻ってくるものと考えて良いのです。
敷金からなにが引かれるのか
退去時に敷金から引かれるのは部屋の修繕費やクリーニング代で、これを「原状回復」と言います。
しかし注意したいのは、原状回復とは、入居前の状態に戻すという意味ではないことです。
入居者が負担するべき費用は、あくまでも故意や過失による部屋の汚れや破損であって、通常の生活による部屋の損耗について、修繕費を出す必要はないのです。
具体的には、ポスターを貼るための画鋲の穴や、エアコン設置のための壁穴、冷蔵庫の後ろの壁の黒シミ、自然光による壁の変色、床の細かなキズなどについては、敷金から引かれる可能性は薄いと言えます。
ですが、家具による床のキズやへこみ、壁の釘やネジの穴、ペットによるキズなどは、払うことになる可能性が高いのです。
またタバコや要注意で、通常のクリーニングで落ちないものについては入居者負担となりがちです。
自然損耗を知ろう
たとえ故意や過失によるものでも、100パーセントこちらの負担になるとは限りません。
ガイドラインは自然損耗をとりいれています。たとえばクロスは6年で価値が1円にまで下がります。
この場合、こちらの責任による汚れであっても、支払うのは1円でよいことになります。
家具別の損耗期間についてはガイドラインに記載されています。
<特約に注意!>
ガイドラインは法律ではないので、強制力はありません。
あくまでも判例をもとにつくられたものです。
そのため契約書に特約事項として「クリーニング費用を負担する」等と書かれている場合、基本的にはそちらの方が強いことになります。
ですが、無理のある特約はいままでの判例で無効とされているので、契約書に書かれているからといってあきらめるべきではありません。
入居前には契約書をしっかりと読み、不明点について問い合わせておくと安心です。
入居前からあるキズなどについては写真をとり、不動産会社に確認しましょう。